日本酒、焼酎などの酒器について
酒の味わいの本質は、樽、桶、壷、瓶といった運搬保存用の容器から、
めいめいの盃に注ぎ分けられた中に見出され、
容器から直接の『口飲み』『ラッパ飲み』によって得られるものではありません。
それぞれの人が自分だけの酒器で賞味することが本来、最も望ましいことです。
お酒の味わいを表現するときについ疎かになるのは、酒器選びです。
通常、利き酒をするときにはアンバーグラスや利き猪口が使われますが、
これらはお酒の香り、味を同じ条件で比べるためには都合が良いものであり、
お酒を美味しくいただくための器としては最適とは言えません。
甘・酸・辛・苦・渋の味わいを、舌が感じる場所は異なるのですが、
盃の形、大きさ、傾け方によって、唇や舌の形が変わるため、
同じ酒でも微妙に味わいが異なって感じられるのです。
ボルドーグラスとブルゴーニュグラスを御存知でしょうか。
ワイングラスにも種類があり、ワインの持つ味わいによってグラスを使い分けるのです。
ボルドーはブルゴーニュグラスで飲んではいけないなどと、形式ばって決める必要はありません。
お酒の美味しさは、お酒の本来持っている香り、
味を十分に引き出すことのできる酒器を用いて、
お酒に合った肴を一緒にいただくことによって、ますます際だつのです。
焼酎や日本酒、ワインなどでも同じことが言えるのです。
①口径が小さく椀型で比較的厚みのある縁を持った酒器
酒の甘味をよく引きだしてくれる器です。
この形の酒器で飲むと酒が舌の先端部分に柔らかく少しずつ流れてゆきます。
舌の先端部分というのは、舌の中で最も甘味を感じる部分なのです。
従って、この酒器で飲むことにより酒本来の甘みを更に引き出してくれるのです。
②椀型でも比較的口径が大きく薄い縁を持った酒器
酒の様々な味わいの要素を綺麗にまとめてくれる酒器です。
この形の酒器で飲むと酒が舌の広い部分に行き渡ります。
舌の広い部分に酒が行き渡ることにより、
酒の持つ様々な味わいを感じることができるからです。
特に、馬上杯や高坏のように台付の物は、酒器を口に運ぶのに無理が無く、
自然に舌の広い部分に広がって行きますので酒の美味さも一段と増すのです。
③桶型の酒器
酒の酸味が強調される酒器です。
この形の酒器で飲むと酒が舌の中央付近に流れていきます。
舌の中程の両側は、舌の中で最も酸味を感じるのです。
従って、この酒器で飲むことにより酒が持つ酸味が強調されるのです。
④口径が比較的大きく、端反りの有る薄手の椀型の酒器
酒の持つ様々な味わいを素直に出す酒器です。
この形の酒器で飲むと酒がゆっくりと舌全体に行き渡ります。
舌全体に行き渡ることにより、
甘・酸・辛・苦・渋の全ての味わいが感じられます。
これは酒の持つ良いところばかりでなく、
悪いところも包み隠さず出してくれることから、
ある意味でとても怖い酒器とも言えますね。
お酒の味は酒器によっていろいろと変わります。
そのお酒の味を一番引き出す酒器の形があります。
酒に合った料理を出す店は多くあります。
同様に料理に合った酒を出す店も数多くあります。
しかし、食べものに好みがあるようにお酒の味にも好みが有るのは当然のことです。
お酒の特徴、酒器の特徴を知り、
一番美味しく飲める組み合わせを
あなた好みのお酒で、
あなた好みの酒器に注ぎ、
あなた好みの肴を添えて、
あなた好みの空間をつくることで
味わい方、楽しみ方が無限に広がっていくのが酒なのです。
酒器についてさらに詳しく知りたい方はこちらのサイト
「日本酒と酒器のサイエンス」を参考にしていただくとよいとおもいます。
日本酒をおいしくいただくための知識がたくさん得られるサイトです。
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